私、いじめたアイツをオトしてみせます。〜イジワル男子攻略法〜
ガララ
「あ。美玲衣ー、サリー!おはよー!」
教室に駆け込むと、すでに中ではクラスメイトの女子たちが体育着に着替え始めていて、自分の席の前で制服を畳み終えていた咲ちゃんと目が合った。
そしてその瞬間に、私はとある失態を思い出す。
「あっ!!!」
つい大声を出してしまったために、着替え途中だったクラスメイトたちの視線が私に集中した。
はっと口元を押さえてペコペコと頭を下げる。
「どうしたの?」
隣で首を傾げて手に持ったトートバックから体育着を取り出す沙梨奈を見てさらに肩を落とした。
「体育着……忘れた」
「えー!?」
「昨日、石田先生あんなに言ってたのに!?」
咲ちゃんの元へ向かいながら答えると、それを聞いていた2人は完全に呆れ顔で眉を下げてため息をついている。
だ、だって〜〜……
完全に忘れてたんだもん……。
「ど、どうしよう」
「あーでも確か毎年こうして忘れてくる生徒がいるからって、予備のジャージが保健室に常備されてるはずだよ!」
「ほんと?よ、よかった……。ちょっと借りてくるね。2人は先に行ってて!」
咲ちゃんの思わぬ救いのお言葉に、私は俯いていた顔を思い切り上げた。
必死に2人にお詫びしてから、保健室へダッシュした。