手をつないだからキスをしよう!
「洋ちゃん………………。」

ドアを開けた途端溢れた涙。

分かっていたかのように抱き寄せて、奥に連れて行かれる。

「closeにして来るから、ちょっと待ってて。」

席をたつ後ろ姿を見送りながら……

『このお店は私のせいで潰れないかな?』って心配になる。

グズグズ泣く私の頭をすきながら

「約束守ったね。エライエライ。」と褒めてくれる。

「…………で?誰に泣かされたの?」

毎回、私が泣かされるって思う洋ちゃん。

ホント…………お兄ちゃんみたい。

……………………………。

久しぶりにお兄ちゃんみたいって思った。

表情の変わった私に

「なぁ~に?」って…………

「いじめっこは誰だ?って聞く洋ちゃんが
久しぶりにお兄ちゃんに見えて…………。
ずっと洋ちゃんは洋ちゃんだったから。」

そう言うと

「そっかぁ~」って

あっ、洋ちゃん。

もう泣いてないよ。

洋ちゃんのところに帰って来て良かった。

何も話さなくても…………伝わる思い。

こんなに楽に人と過ごせることなんて…………

今までなかった。

洋ちゃんを好きになってたら………泣かなかったのかな?

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