手をつないだからキスをしよう!
「彩、お疲れ。」

グラスを差し出す海晴。

あの後、カラオケはお開きにして………海晴達と居酒屋に来た。

ここは、洋ちゃんのお店にも近い商店街の中にある。

唯ちゃんに内緒で会合を持つとき、先生と四人で来るお店。

時々、海晴と二人で飲んでたら……先生と洋ちゃんが来ることも。

さぁ~!今日は飲むぞ!!

ウーロンハイにレモンサワー、カシスオレンジにビールと……

片っ端から飲んだ。

「明日、地獄をみるよ。」

いつもだと、飲みすぎのメンバーにストップをかけるのは私。

今日は、夏苗が心配して声を出す。

「いいの!だって明日はおやすみだもん。

一人でゴロゴロ淋しく過ごすんだぁ~!」

すっかり酔っぱらって……潰れた頃。

「ハイハイ、こっちも旦那が来たよ。」と海晴の声がした。

……………私に旦那なんていないもん。

イジケモードの私の頭に…………大きくて安心する手が伸びてきた。

「あ~や、帰るよ。」

………………………洋ちゃん。

顔を見なくても分かる、暖かいぬくもり。

「しっかり掴まってろよ。」

バレンタインの時と同じ大きな背中。

海晴達にお礼を言って

「ここは俺の奢りだから、ゆっくり飲んで帰って。」と

男前のセリフを残して、お店を後にした。
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