再会はオペ室で
多忙な午前中を終え、誰よりも早く昼休憩に入った美鈴は院内にあるコンビニへ向かっていた。食堂にいればまた貴島に出くわす可能性があるからだ。一番人気のドクターと一緒にいれば噂になる。男性看護師の数も多いが、まだまだ看護師の世界は女社会だ。無駄に敵は作りたくない。
二階にあるコンビニの店内は既に混雑していた。店内は白衣姿の医療関係者やパジャマ姿の入院患者、そして普通の服装をした外来患者の姿など様々いる。
サンドイッチとサラダ、それにカフェオレを手にして、レジ前の行列に並んだ。あと二人というところになって、誰かに肩を叩かれた。
「水上先生」
「よっ。サンドイッチ一つだけなんて、何か悩み事?」
「別に悩みとかは…」
「そう?じゃあそろそろ痩せの大食い返上かな」
「水上先生!」
「ははは。ごめんごめん。順番来たみたいだ。どうぞ」
お金を払いながら水上に視線を向けると、水上は女医から話しかけられていた。水上は胸部外科の講師で手術の腕は良く、性格も気さくで人気がある。
休憩室で食べる気分じゃなく、屋上へ向かうためエレベーター待ちをしている美鈴は、再び肩を叩かれた。また水上だ。
「もしかして屋上で食べるの?」
「はい。外の空気が吸いたくなって」
「そうか。俺も一緒にいいかな」
「一緒にですか?」
「もしかして邪魔してる?」
「そんなことは…」
「じゃあ決まりだ」
混雑しているエレベーターのなかで、高身長の水上は全然窮屈そうな様子もなく涼しい顔をしている。
胸部外科の講師である水上は、美鈴にとって数少ない苦手な人物の一人だ。腕は良く、気さくな人柄で、患者や同僚たちからの信頼も厚い。美鈴だってその辺は認めている。ずっと仕事モードであれば、水上は本当に尊敬するドクターの一人だ。
ただプライベートになると評価が一転する。とにかく女癖が良くないのは誰もが知る有名な話だ。見た目はいいので、看護師の中には分かっていながら敢えて水上に近づいていく者だって少なくない。異動願いを出す前、美鈴は水上から頻回に口説かれていた。結果、一度も誘いに応じることのないまま美鈴は異動した。
二階にあるコンビニの店内は既に混雑していた。店内は白衣姿の医療関係者やパジャマ姿の入院患者、そして普通の服装をした外来患者の姿など様々いる。
サンドイッチとサラダ、それにカフェオレを手にして、レジ前の行列に並んだ。あと二人というところになって、誰かに肩を叩かれた。
「水上先生」
「よっ。サンドイッチ一つだけなんて、何か悩み事?」
「別に悩みとかは…」
「そう?じゃあそろそろ痩せの大食い返上かな」
「水上先生!」
「ははは。ごめんごめん。順番来たみたいだ。どうぞ」
お金を払いながら水上に視線を向けると、水上は女医から話しかけられていた。水上は胸部外科の講師で手術の腕は良く、性格も気さくで人気がある。
休憩室で食べる気分じゃなく、屋上へ向かうためエレベーター待ちをしている美鈴は、再び肩を叩かれた。また水上だ。
「もしかして屋上で食べるの?」
「はい。外の空気が吸いたくなって」
「そうか。俺も一緒にいいかな」
「一緒にですか?」
「もしかして邪魔してる?」
「そんなことは…」
「じゃあ決まりだ」
混雑しているエレベーターのなかで、高身長の水上は全然窮屈そうな様子もなく涼しい顔をしている。
胸部外科の講師である水上は、美鈴にとって数少ない苦手な人物の一人だ。腕は良く、気さくな人柄で、患者や同僚たちからの信頼も厚い。美鈴だってその辺は認めている。ずっと仕事モードであれば、水上は本当に尊敬するドクターの一人だ。
ただプライベートになると評価が一転する。とにかく女癖が良くないのは誰もが知る有名な話だ。見た目はいいので、看護師の中には分かっていながら敢えて水上に近づいていく者だって少なくない。異動願いを出す前、美鈴は水上から頻回に口説かれていた。結果、一度も誘いに応じることのないまま美鈴は異動した。