再会はオペ室で

 久しぶりに白衣を脱いでオペ室の服に袖を通すだけで美鈴は自然と背筋を真っ直ぐ伸ばした。今日のオペ予定一覧をチェックしていると、肩に手をポンと置かれた。
 「久しぶりね。奥井さん」
 「主任…。お久しぶりです」
 「元気そうじゃない。半年間の気分転換はどうだった?」
 「お陰様で、もう大丈夫です」
 「そう。あなたには期待してるんだからね。頼んだわよ」
 「はい」
 久しぶりの職場復帰という点を考慮されたのか、午前は小児の日帰り鼠径ヘルニア手術、午後は耳鼻科の鼓膜形成術の外回り介助になっていた。
 いきなり大きな手術に入らされるとは思っていなかったが、それが本当になって美鈴は安堵した。
 担当医を確認して7.5と6.5の手袋を準備した。ついでに今日の手洗い介助はまだ今年入ったばかりの新人なので、既に準備された手術器材に不備がないかも然り気無くチェックした。
 看護専門学校を卒業後に就職して、美鈴は今年で七年目になる。
 入職時に行われた配属先の希望届には整形外科病棟と記入したが、その望みは叶わなかった。それだけでなく、第二希望も第三希望も叶わなかった。
 手術室は友達の間でも人気が高く、希望していた友人も多かったのだが、なぜか希望していなかった美鈴が配属された。
 当時の看護部長になぜ希望していない自分が手術室なんですかと聞きに行ったが、看護部長は表情を一つも変えず、「適材適所にしただけよ」と答えただけだった。

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