再会はオペ室で
「そんな睨んでたら、周りに変に思われるぞ」
白衣姿に戻った貴島は手術中にしていた眼鏡を外していた。笑いながら向かいに座る貴島を見てコンタクトにしているんだろうなと美鈴は思った。
「別に睨んでなんかいませんけど」
「何でそんなツンケンしてんの」
「別にツンケンなんて。いつもこうですが」
「へえ。そうなんだ。他の人に聞いたら奥井さんは温厚で有名だって言ってたんだけど違ったのか。じゃあ別人の話かな」
いちいち嫌みったらしい貴島を美鈴は睨み付けた。でも直ぐに顔を元に戻した。
「貴島先生はいつからこちらへいらしたんですか?」
「ああ、やっぱり気になるんだ。俺のこと」
そう仕向けたくせに何をしれっと言ってるのよ、と喉まで上がってきた言葉はかろうじて飲み込んだ。確かにこれ以上おかしな会話を続けたら、絶対に変な噂をたてられるのは必至だ。