再会はオペ室で
「そんな顔するなよ。二か月前だよ。美鈴の名前見つけた時は驚いた。どこかの大学病院でナースしてるらしいのは風の噂で聞いて知ってたけどな。でも同姓同名の場合もあるからさ。まあ、今日この目で確かめるまでは半信半疑だったけどな」
カレーライスを口にする姿ですらいちいち様になる。一流俳優も顔負けな貴島を遠巻きにして見ている女性たちの視線が否が応でも美鈴の視界に入る。
「私だって同じよ。悠哉がドクターになったのは知ってたけど、まさか同じ病院で働くなんて考えてもみなかった」
「運命的なやつじゃないの」
「それはない」
「即答かよ」
「そういう夢見る年頃はとっくに過ぎたんですー」
「はっはっは」
美鈴の心配をよそに、あの頃と同じ態度で話を続ける貴島に美鈴は内心嬉しく思っていたが、それは口にすまいと同時に考えていた。貴島のことではもう散々泣いた。それも涙が枯れて、食事も摂れなくなるほどだった。あれほど悲しく辛い想いをするのは、人生に於いて一度あれば十分だ。
笑う貴島の顔をなるべく見ないようにして美鈴は次々と皿を白くした。笑いの収まった貴島は、食べ終えた皿の上にスプーンを置き、コップの水を飲み干すとテーブルに肘をつき美鈴の顔をじっと見つめながら首を傾げる。
「聞くかどうしようか迷ったんだけどさ。なんで地方にわざわざ異動希望だしたわけ?」
その瞬間、デザートに手を伸ばしていた美鈴の肩がびくりと震えたのを貴島は見逃さなかった。
カレーライスを口にする姿ですらいちいち様になる。一流俳優も顔負けな貴島を遠巻きにして見ている女性たちの視線が否が応でも美鈴の視界に入る。
「私だって同じよ。悠哉がドクターになったのは知ってたけど、まさか同じ病院で働くなんて考えてもみなかった」
「運命的なやつじゃないの」
「それはない」
「即答かよ」
「そういう夢見る年頃はとっくに過ぎたんですー」
「はっはっは」
美鈴の心配をよそに、あの頃と同じ態度で話を続ける貴島に美鈴は内心嬉しく思っていたが、それは口にすまいと同時に考えていた。貴島のことではもう散々泣いた。それも涙が枯れて、食事も摂れなくなるほどだった。あれほど悲しく辛い想いをするのは、人生に於いて一度あれば十分だ。
笑う貴島の顔をなるべく見ないようにして美鈴は次々と皿を白くした。笑いの収まった貴島は、食べ終えた皿の上にスプーンを置き、コップの水を飲み干すとテーブルに肘をつき美鈴の顔をじっと見つめながら首を傾げる。
「聞くかどうしようか迷ったんだけどさ。なんで地方にわざわざ異動希望だしたわけ?」
その瞬間、デザートに手を伸ばしていた美鈴の肩がびくりと震えたのを貴島は見逃さなかった。