夏だったらよかったのに。
手を無理やりひかれ教室から出る時。

すれ違いざまに梨彩を見る。

そう、ニヤリと笑った梨彩を。

ーやられた。

そう、きっとあの時。
質問され、
気がむいていない隙に梨彩の友達がやったのだろう。

普段の声からは想像もつかない、
ドスの効いた声で。
この世を恨む声で。
私は発する。

「最低」
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