木崎、こっちを向いて
学校に着くと、掲示板の前でガヤガヤと人だかりができていた。
「すーみっちゃん!また学年一位だね」
この子は、大野 春。
高校で1番の友達
春は栗色のくせっ毛で、いつもポニーテールにしている。勉強は苦手だが、テニス部のエースだ。
「そうなんだ。」
学年一位というのは、この前の前期中間テストのこと。
うちの学校は毎回1位から10位まで、掲示板に張り出される。
「すごいなぁ!去年からずーっと一位!
お母さんはすみちゃんが自慢だろうね!今日はお祝い?」
春の言葉に、胸がズキンと痛む。私の家庭のことは誰にも話してない。もちろん春にも。
「お祝いしないよ。ほらっ、春行こ!」
「あ〜、待ってー」
二人で2-4の教室に入る。
春とは高校から仲良くなって、2年間同じクラスだ。