木崎、こっちを向いて
早川先生side


学年一位の木崎すみれ。真っ黒で切り揃えられた長い髪に、真っ白な肌、才色兼備という言葉が1番似合う彼女は、美人で頭が良いが、少し暗い。


同じクラスの大野春とは仲が良いが、大野以外で友達はいないようだ。


人を寄せ付けないオーラを放つ彼女は、新学期当初から少し心配だった。



それでも、授業はしっかり出て真面目だし、なんといっても学年トップだし、その心配は徐々に薄れていったけど



今更その心配が大きく膨らんだ。



まだ二年生の夏、生徒が書いた進路希望調査には、具体的に学部や学科まで考えている人もいれば、まだ未定と書かれている人もいた。でも、就職希望は木崎だけだった。


何か深い事情でもあるのかと思った僕は

彼女の去年の担任だった、金森先生に相談することにした。

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