ただ君を愛してる
大人しく授業を受け、いつの間にか放課後になっていた。


桜と翔太と帰るだろうしな…。

そう思うと胸が痛くなる。


「花歩ー!一緒帰ろうー♪」

「えっ?翔太と帰るんじゃ…。」


驚いた。


「もちろん、翔太とも帰るよ♪翔太の友達とも一緒だし!」


翔太の友達…。


「うっ、うん…。わかった。」

あたしはカバンを持ち、桜の隣へ並ぶ。

少しそれが淋しかった。


「翔太っ!花歩連れてきたよ~★」

「って…。佐田!?」

何で佐田が…!

「龍と俺、同じ部活だしなー。親友だし」

と、翔太はあたしにデコピンをする。

「って…。何すんのーっ!!!」


こうゆうのを望んでいたのにな。

「とりあえず、帰ろ。」


やっぱりクールな佐田。

あの優しさは何だったんだろう……。



……やっぱ、桜と翔太は手を繋いでいる。

「…大丈夫なのかよ。」

佐田はボソッとあたしに言ってきた。

「…大丈夫なワケないじゃん…。佐田のばか」


ほんと、今ここにいる時点で大丈夫じゃない。

涙も出てきそうだ。

「龍生でいいよ。」

「佐っ…龍生は好きな人いないの?」

しばらく沈黙が続いた。



「いるよ。隣に。」
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