明日を生きる君達へ
「このクラスの担任になりました、佐藤和子です。皆さん、どうぞよろしくお願いします。」
私達のクラスの担任の佐藤先生は、新任の社会教師で、物腰の柔らかい女の人だった。
春歌とは、名簿の関係で少し席が遠かった。
けど、意外な読み方だった神木くんが隣の席だった。
「とりあえず、隣の人と自己紹介をしてくださいね。」
落ち着いた柔らかい声で佐藤先生が言う。「はーい」とあちこちから返事が帰ってくる。
「あの、神木くん。」
「何?」
そういって私に向けられた顔は、凄く整っていて、モデル顔負けのカッコ良さだった。
「何、じゃなくてほら、自己紹介!」
私がそう言うと神木くんは、あぁ、そういう事か。みたいな顔をする。何も話聞いてなかったのかな……?
「じゃ、俺からするね。俺は神木怜斗。読み方よく間違えられるけど、さかき れいと、ね。」
「わ、私は相原零。私も最初見た時、かみき、だと思った。」
私がそういうと、神木くんは、ははっ、と笑った。
「やっぱりね。間違えられるけど、覚えてもらいやすい訳でもないんだよな。」
「そうなんだろうなと思った。」
神木くん、心の底から笑うことは無いのかな。ていうか、私達だけ名前しか言ってないや。これ、言った方がいいのかな…?いやでも、好きで名前しか言ってないのかもしれないし……。
「名前以外も言い合うか?」
「あ……うん。」
ほら、またこれだ。また1人で決められなかった。今までもこうやって、決断することから逃げてきた。
「てか、俺の事は怜斗でいいぞ。」
「そ、そう?じゃあ、私の事も零でいいよ。」
「分かった。よろしくな、零。」
「うん、よろしくね、怜斗。」
そして、入学から、何日かが過ぎた。
いつも通り、私は春歌と2人で帰る。
「ねーねー、零ー。」
「何?」
春歌が白い歯を見せて笑う。
「イアンかLaLaか、どっちかに寄って帰ろうよ!どっちがいい?」
イアンとLaLaというのは、大きなショッピングモールの事。若い女の子達に人気のスポットだ。
「えー…どっちでも……」
いやちょっと待て。ここでどっちでもいい、なんて言ったら、また決断することから逃げた事になるんじゃないか?よし……!
「LaLaに行こう!」
春歌はちょっと驚いたような顔をした。けど、すぐにイタズラを成功させた少年のような笑顔を見せて言った。
「零のことだし『どっちでもいい。』って言うのかと思ったよー!よし、LaLaにしよっか!!」
行ける店をギリギリまで詰め込むプランを立てながら、私達は電車に乗り込んだ。
私達のクラスの担任の佐藤先生は、新任の社会教師で、物腰の柔らかい女の人だった。
春歌とは、名簿の関係で少し席が遠かった。
けど、意外な読み方だった神木くんが隣の席だった。
「とりあえず、隣の人と自己紹介をしてくださいね。」
落ち着いた柔らかい声で佐藤先生が言う。「はーい」とあちこちから返事が帰ってくる。
「あの、神木くん。」
「何?」
そういって私に向けられた顔は、凄く整っていて、モデル顔負けのカッコ良さだった。
「何、じゃなくてほら、自己紹介!」
私がそう言うと神木くんは、あぁ、そういう事か。みたいな顔をする。何も話聞いてなかったのかな……?
「じゃ、俺からするね。俺は神木怜斗。読み方よく間違えられるけど、さかき れいと、ね。」
「わ、私は相原零。私も最初見た時、かみき、だと思った。」
私がそういうと、神木くんは、ははっ、と笑った。
「やっぱりね。間違えられるけど、覚えてもらいやすい訳でもないんだよな。」
「そうなんだろうなと思った。」
神木くん、心の底から笑うことは無いのかな。ていうか、私達だけ名前しか言ってないや。これ、言った方がいいのかな…?いやでも、好きで名前しか言ってないのかもしれないし……。
「名前以外も言い合うか?」
「あ……うん。」
ほら、またこれだ。また1人で決められなかった。今までもこうやって、決断することから逃げてきた。
「てか、俺の事は怜斗でいいぞ。」
「そ、そう?じゃあ、私の事も零でいいよ。」
「分かった。よろしくな、零。」
「うん、よろしくね、怜斗。」
そして、入学から、何日かが過ぎた。
いつも通り、私は春歌と2人で帰る。
「ねーねー、零ー。」
「何?」
春歌が白い歯を見せて笑う。
「イアンかLaLaか、どっちかに寄って帰ろうよ!どっちがいい?」
イアンとLaLaというのは、大きなショッピングモールの事。若い女の子達に人気のスポットだ。
「えー…どっちでも……」
いやちょっと待て。ここでどっちでもいい、なんて言ったら、また決断することから逃げた事になるんじゃないか?よし……!
「LaLaに行こう!」
春歌はちょっと驚いたような顔をした。けど、すぐにイタズラを成功させた少年のような笑顔を見せて言った。
「零のことだし『どっちでもいい。』って言うのかと思ったよー!よし、LaLaにしよっか!!」
行ける店をギリギリまで詰め込むプランを立てながら、私達は電車に乗り込んだ。