明日を生きる君達へ
ざぁざぁと、雨が地面を削る音。
私は夢の中にいるんだろうか?
今は朝のようだ。しかし、誰も私の名前を呼んでくれない。

瞬きをする。

すると急に、私の目に教室が映った。

春歌の席であろうところに、花瓶が置いてあった。
私の隣の席には、じっと前を見つめる神木くんがいる。

「なぁ、零。」
「え?」

ありえない。
夢の中の神木くんが、話しかけてきた。
「相原のことは、ホントに残念だった。」
神木くんはしばらく黙り込んだ後、再び口を開いた。
「あの…弁当のハンバーグ、半分やるよ。俺いらないし。」
……ハン…バーグ?

「痛っ!」
見ると、指から血が出ていた。
どうやら紙で指を切ってしまったらしい。

どういうこと?なんでこんな何の変哲もない夢をみるの?
分からない。意味が分からない。
今まで生きてきた中で、こんなにくだらない夢があっただろうか?

授業の終わりのチャイムが鳴ったのと、目が覚めたのが、ほとんど同時だった。
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