電車で出会ったキミとワタシ


楽しい時間はすぐに終わり

バスは最寄り駅に着いた




イケメンさんとの距離、30センチ!も、もう終わりか




と思いながら、席を立つ





肝心の後ろのイケメンさんが、立っている気配はない





私は、ドキドキしながらそっと後ろを向くと




イケメンさんは、まだ夢の中だった。


 
 

しかし、このバスは、この駅が終点ではない




ちなみに終点には、ここから40分ほどで着く……と思う





だから、このまま寝ていたら


イケメンさんは確実に遅刻してしまうだろう






…いやでも、自分がこの駅で降りることを、見ず知らずの人が知っていたら怖いし




…でも、遅刻したら大変だ



 


自分の頭の中は、二つの意見で割れていて



ぐるぐるぐるぐる考える






「下りる方はいらっしゃいませんか?」



そんなとき、運転手さんの言葉が耳に入ってきて



このままじゃ、2人で遅刻だ!





そう思ったときには




「起きて!起きて下さい!駅ですよ!」




イケメンさんに声をかけていた





イケメンさんはゆっくりと目を開けると


はっとして、いきなり立ち上がり





2人でギリギリセーフでバスから降りた






「すいません。ありがとうございます」




イケメンさんが、私にぺこっと頭を下げてくる





「いえいえ!困ったときはお互い様ですよ。

こちらこそ、この前はありがとうございました。」




私も、すかさずぺこっとお辞儀する





「…この前?」




やっぱ覚えてませんよねー


  

「昨日…駅で、荷物を拾って頂いて…」






「あー、思い出した」



イケメンさんは、後ろ髪を手でくしゃっとすると



見たことのない、満面の笑みで私に笑いかけた




いつもは、かっこいいと思っていたけれど
今は、とても可愛い





「なんか、昨日も今日も


俺ら、お互いを助け合ってるな」




そんな笑顔で、そんな胸きゅん言葉言わないでよ



ずっと、叶うはずもない、一方通行な想いだったから





今の言葉は、

付き合って3ヶ月の彼氏に
『お前がいないとダメなんだ!』



と、言われるのと同じくらいの胸きゅん言葉




…そんな言葉、言われたことないけど
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