君の声を聞かせて
「だめ。鼻んとこ赤くなってるよ?トナカイみたい。」








「なっ!トナカイみたい…って…」







私はとっさに鼻を隠した。まあ確かに少しジンジンするけど…







「それにもう保健室だし。てか、軽いね〜ちゃんと食べなきゃ。」








あ、ほんとだ。もう保健室の前だった。先輩はそっと降ろしてくれた。







「っ…余計なお世話です!」







ガラッ






力任せに保健室のドアをあける。







「あれ…先生いない…」







まあいーや。てきとーに。冷やすもん貰っとくか。ていうかこの先輩なんなの…強引っていうか…それに…







何故なのか分からないけど…







心の声が聞こえない…






今までにそんなこと絶対なかったのに

この人はいったい何者なんだろう…








「んじゃあ、俺が手当するよ。ほら。」








といわれて椅子に座らされた。





いや。よくわかんないけど強引な人なのは間違いないわ。





「はい。氷ね。直で当てたら肌痛むかも…はいこのハンカチで巻いて使って。」







そういって青色のハンカチに氷の入った袋を包んで渡してくれた。








「ありがとうございます…男の人なのにちゃんとハンカチ持ってるんですね…」







「そりゃーいつでも好きなの子涙を拭けるようにね?」







何言ってんだこの人。てきとーにながそ。








「あ、そうですか。」








「ははっ。反応うすっ!」









といって笑った。向日葵が咲いたみたいに。その笑顔は…嫌いじゃない…








こんな風に誰かと話すのなんて初めてかもしれない…いつも心の声が聞こえてきて苦しかったから…
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