カンケイ。
「俺も、お前みたいなやつと結婚できていれば、もっと幸せになれたのかもしれないな」
それは何かを想うような、そんな遠い目で言った。
彼は私を見ていたが、その視線は私を通り抜けたような、そんな錯覚に陥る視線だったからだ。
それに気づかない振りをして、私は言った。
「何言ってるの。私たちはこの関係。もしくは高校の同級生で、それ以上でもそれ以下でもないでしょ?」
「そうだな。俺、お前のそういう所、好きだよ」
彼は苦笑混じりにそう返した。
深い意味はないのに、零された「好き」。
それは何故か私の心にひっかかって。
それでも私は彼とはセフレなのだと割り切ることができていた。