【短編】蚊取り線香

「どうしたの?」


心配そうに私の顔を覗き込むアキ君。


「ねぇ…私って、そんなに魅力ないの?」



…とうとう言ってしまった。


「そんなこと、ないよ。なんで?」


「…だって…アキ君に、もう女として見てもらえてない気がするよ」


「そんなことないよ。」



優しく優しく私の頭を撫でる。


「私はアキ君に女として見て欲しいよ!なんで誘ってくれなくなったの?頭撫でてもらっても嬉しくないし!」


自分でもビックリするような声で叫んでしまった。


「あっ、そう」



優しかったアキ君の声が、急に低くなる。


「私はアキ君と一緒に寝るの、つらくてたまらないよ!さみしくなるよ!」



私の顔は、涙でぐしゃぐしゃだろう。


きっと、ちっとも可愛くない。




「…わかった。今日はソファで寝るから」



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