【短編】蚊取り線香
お互い様

会社で気を遣い、家でも私に気を遣ってくれてたアキ君。


いつ休まる時があったのかな?


ニコリともしない奥さんが待つ家に帰ることは、もしかしたら憂鬱だったかもしれない。



そんな奥さんを抱こうだなんて、思えなくて当たり前かもしれない。



私は、蚊取り線香がだんだん灰になるみたいに、アキ君を疲れさせていたのかな?


この部屋に充満する煙みたいに、息苦しくさせていたのかな?



だから、アキ君は蚊取り線香を折るみたいに、私の話も聞かずにリビングに行っちゃったのかな?



だったら、私に何ができる?



アキ君のためにできること。



< 17 / 28 >

この作品をシェア

pagetop