【短編】蚊取り線香
お互い様
会社で気を遣い、家でも私に気を遣ってくれてたアキ君。
いつ休まる時があったのかな?
ニコリともしない奥さんが待つ家に帰ることは、もしかしたら憂鬱だったかもしれない。
そんな奥さんを抱こうだなんて、思えなくて当たり前かもしれない。
私は、蚊取り線香がだんだん灰になるみたいに、アキ君を疲れさせていたのかな?
この部屋に充満する煙みたいに、息苦しくさせていたのかな?
だから、アキ君は蚊取り線香を折るみたいに、私の話も聞かずにリビングに行っちゃったのかな?
だったら、私に何ができる?
アキ君のためにできること。