【短編】蚊取り線香
「短くしていい?ノドにくる…」
私の返事を待たずに、アキ君は蚊取り線香を折ってしまった。
「あ…」
「なに?」
「ううん、何でもない」
蚊取り線香を折るの、あんまり好きじゃない。
私たちは、テレビを見ながら遅めの晩ご飯を食べた。
テレビを見ながら笑ってるアキ君の横顔を見る。
「なに?」
視線に気付いたアキ君が、いつものように私に聞く。
「ううん、なんでもない。」
いつものように私も答える。