幼なじみの優しい彼
「ヒカリ、俺・・」

海が何か言おうとしたその時、教室の前の出入口の扉が開いた。

「海くーん、一緒に帰ろーよー」

甘ったるい声がして振り向くとさっき海に告白した彼女だ。

なんて積極的な子なんだろ。

しかも、この子かなり可愛い。

鈍器で頭を殴られたようなショックを受けて私の心はもうポキンと折れてしまった。

「海、その子と一緒に帰りなよ、私先に帰るね。バイバイ」

「待てよ、ヒカリ」

海が、私の腕を掴んでひきとめるけど、強く振り払った。

「やだっ、もう、海なんて嫌い」

心にもない悪態をついて、海を睨んでしまう。
ああ、こんなの八つ当たりだ。最低だ私。

海が辛そうな顔をしたのに気づいたけど、私は走って教室を後にした。

気がつけば、海から逃げ出してしまっていた。







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