幼なじみの優しい彼
ようやく止めてくれたのは次のバス停だった。

急いでバスから降りて、今来た道を引き返そうと駆け出した。

すぐに、30メートルほど先に海の姿を見つけた。

「海ー」

「ヒカリ」

苦しげに息を吐きながら海が、最後の力を振り絞るように勢いよく走ってきた。

駆け寄り合った私達は、あと1メートルのところで立ち止まった。

ハアハアと苦しそうに肩を上下させ膝に手をつく海は、かなりボロボロだった。

髪も無造作に乱れていたし、汗だくだ。

どこかで転んだのかチェック柄のズボンの膝が汚れていた。

私はポケットからハンカチを出して、海の額に押しあてて汗を拭いてあげる。

髪も、ちゃんとなおしてあげる。

私達は目が合うと、ちょっと笑いあった。

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