幼なじみの優しい彼
瞳を手の甲で少し拭うような仕草をした海は、私に向き直り私の両肩に手を置いて少しかがむ。

優しく愛おしそうに見つめながらゆっくり口を開いた。

「俺も10年前からずっとヒカリが、大好きだったよ。ずっとずっと、大切だった」

「え、10年って幼稚園の時から?うっそ」

あんぐりとバカみたいに口を開けて私は絶句する。

「そうだよ、それに6歳の時にちゃんと俺、告白しただろ?」

「へ?そうなの?」

「そうだよっ。やっぱり忘れてたんだな、ヒカリ」

恨めしそうに、拗ねたように私を優しく睨む海の目が少し赤い。

6歳の時ってそもそも、その時代の記憶がすっぽり抜け落ちているんですけど、私は。

「それに中学の時から俺なりにアプローチしてたのに、ヒカリ全然気づかないし、鈍感すぎるよ」
< 20 / 24 >

この作品をシェア

pagetop