幼なじみの優しい彼
彼女は、さっきまで泣いていたとは思えないような明るい声で、嬉しそうに海に話しかける。

「海くん、連絡先ありがとう。今度デートしようねっ」

「わっ、ちょっ、ちょっと」

彼女は、背伸びして長身の海の頬にチュッと唇をおしあてたかと思うと、逃げるように走って後ろの出入口から教室をでていった。

私は、反対側の出入口の外にいたので、彼女には見つからなかったようだ。

後に残された海は、ボーっとしながら頬を押さえている。

私も茫然自失で口元を両手で覆ってへたり込んだ。

なんてこと、するのよ、私の海に。

海も、海だよっ。簡単にあんなことされちゃうなんて。

隙だらけなんだから、海は。

絶対この先、積極的な女の子に押し倒されちゃうよ。

どうしょう。そんなの、やだよー。
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