幼なじみの優しい彼
「あれ、ヒカリ?」

「海」

びっくりしたような海が、教室の外でへたり込む私を見下ろしている。

「あ、さっきの見てた?」

「し、知らないっ、海なんて。イヤラシい、こんな人気(ひとけ)のないとこに女の子と2人きりでなにしてんのよ」

「な、なにって。盗み見してたんなら知ってるだろ、それに俺は呼びだされただけだから」

私にイヤラシいと言われたのを、怒ったのか海は、不機嫌そうに眉をつりあがる。

なによ、さっきまであの子にはデレデレしてたくせに。

「先に帰っててって、言ったのに」

「だって。海が、また告られると思ったら心配だったんだもん」

唇を尖らせて海を少しだけ睨む。

「へ?あ、ああ、まあ大丈夫だよ。あのくらい」
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