幼なじみの優しい彼
「俺たち、カップルに見えるのかな?」

「でも、付き合ってるわけじゃないのにね」

「・・・・そうだね」

海の小さなため息が聞こえたので、彼を見上げた。

目が合うと、優しく微笑んでくれるので、私も笑う。

だけど、彼の柔らかそうな左のほっぺたを見てイラッとした。

「海ー、口紅ついてるじゃない。もうっ」

さっきの怒りが再燃してきて、カッとなる。

「え、あ、あれ?おかしいな、そんなについてる?」

「あ、ダメ触っちゃ、やだ」

彼の手が頬に触れようとするのを阻止した。

「拭いてあげるから、そこ座って」

「うん」

彼を教室の椅子に座らせてティッシュで、ほっぺたの口紅をこする。

放課後の教室には、私達2人だけしかいなかった。

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