君に恋を始めました
キンコンカーンコーン♪

それから僕たちは4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴るまでずっとペン回しをしていた。

「終わり?」

僕はまだ半分も埋まっていない自分のノートを見て焦った。

普段なら板書だけにとどまらず先生の話もしっかり聞き、メモしているのに。

「大丈夫?」

そんな僕にからかうような口調で問いかけてくる月島さん。

「そういう月島さんこそ大丈夫なの?いつも全然授業聞いてないけど、、」

前から気になっていたことをたずねて見た。

「ええ。私は、平気よ。」

どこからそんな言い切れる自信が湧いてくるのか、、。

次は、昼食だ。教室が騒がしくなる。

「えええ!良也どうしたの!?!?」

頭上から声がしたので見ると幸人が机に手をついて上からノートを覗き込んでいた。

「ああ、。これには訳が、あ!」

板書を写している途中なのに係りの人が黒板を消し始めてしまった。
まあ、これは、自業自得だ。文句は言えない。

「悪いんだけどノート見せてくれない?」
「え、僕の?いいよー、ちょっと待ってて!」

上を見上げてそう言うと幸人は自分のノートを取りに行った。

ふと、隣を見ると月島さんはいなくなっていた。
またどこかに行ったのだろう。

それにしても_。
人と話すのが苦手な僕なのに月島さんとはすぐに距離が縮まった気がする。
不思議だ。

「はい!僕の!」
「え、これ?なんでこんなに、、」
戻ってきた幸人が差し出してきたのはボロボロのノート。
「貸してもらってるのに文句言わないのー!それにボロボロの方が頭良く見えるでしょ?」
「はぁ、?」

頭が良く見えるからわざとボロボロにしたのだろうか。
それともただ扱い方が悪いのだろうか。
どちらにせよこんなボロボロのノートは初めて見た。
今日の分のノートを開くと案の定先生の話のメモはなかったが、意外と字は綺麗だった。

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