苦くて甘いビターチョコといちご
颯太side

「美味っ」
美恋が選んできたケーキがめちゃくちゃ美味い
龍もコーヒー作るの上手くなったな
こうやって2人見ると兄妹みてぇ

美恋が洗い物してる間に龍が少し眉間にシワ寄せてテレビを見ていた
「なんかあったのか?」
「あー、、、美恋ちゃんの事で、」
「あ?」
「今日の帰り、美恋ちゃんの下駄箱に手紙が入ってたんですけど、
その内容が、ちょっと不気味で。

僕に気づいてよって
その一文だけだったんですけど気味悪くて、、、」
「その手紙は?」
「美恋ちゃんが、捨てちゃいました」
「、、、は?」

昇降口での出来事を聞いたら
鳥肌の立つものだった
にしても肝座ってんな、

「それストーカーじゃねぇか、」
「とりあえず明日様子見てみます」
「美恋が不安にならねぇようにしてあげてくれ」
「はい」

「2人共真剣な顔してどうしたの?」
洗い物して戻ってきた美恋は不思議そうに見てきた
「そう言えば美恋ちゃん数学わかんないとこあるって言ってたよね
颯太さんのスパルタ授業かなって話」
「す、スパルタ、、」
「真に受けんな。龍に数学教えてもらっとけ、ちょっと事務所行ってくる」
「はーい」

龍に見ててもらうことにして事務所に車走らせる
「あら、アニキ珍しいですね」
事務所には龍の親 結衣さんと誠さんが資料見ていた
2人は親父の代からいて俺の兄貴、姉貴分でもあった
「結衣さんがこの時間いるのも珍しいじゃねぇか、」
「家にいても暇なのよ」
「ふーん」
椅子に座り、溜まっていた書類に目を通しながら煙草に火をつける
「そう言えば最近煙草吸ってなかったようだな」
誠さんが眼鏡外してコーヒー飲みながらこっち向いてきた
「あぁ、美恋いるし煙草はな、」
「お嬢の事可愛がってますもんね」
「、、るせー、」
ニヤニヤしてる2人に背を向ける
「早川のおっさん、どうしてる」
あのしつこい早川のジジイの事はこの2人にしか言っていない
「それがあちら事務所から出てこないのよ」
「でも電話寄越してきまくるから事務所のそこの電話は着信拒否にしちまった。
そのうち本人登場してくるかもな」
「誠さん、それで刺されたら助けろよ」
「お嬢が家で待ってんだから死ねねぇだろ?」
ニヤニヤ笑う誠さんにふふふと笑う結衣さん
「昔はあんなに荒れまくって傷作って俺ら手当てしてたのに」
「そうねぇ高校生の頃なんて毎日違う女の子達連れては、、、」
はぁと2人とも遠い目してため息ついてる
「昔の俺は死んでたようなもんだろ」
「お嬢が来てから丸くなったものね、
あんな可愛い子が龍の彼女だったらいいのに」
「あ?美恋はまだ誰にもやらねぇよ」
「ふふふ、嘘よ。」
妹がいたらこんな感じなんだろうかって美恋が来てから心がふわふわすることが増えた
自分でも思う
美恋が来てから俺は変わった

机の上に置いた集合写真
組の者に差し入れに来てくれた美恋とみんなで撮った写真

琥太が美恋連れて事務所に来た時は本当に驚いた
こんなとこ女子高生が来るようなとこじゃねぇのに
お昼に差し入れ作ったからって
重箱におにぎりや唐揚げとか入れて持ってきてくれた時はみんな喜んでた

今では組の奴らと仲良くなって良かった


短くなってきた煙草を灰皿に押し付け新しい煙草に火をつけた時だった

スマホの振動が着信を知らせた
画面を見ずに出てしまった
「龍宮寺君なんで僕の電話無視するんだい?まぁ今こうして電話出てくれたからよかったけどさぁ」
こいつかよ、
「いい加減にしねぇと潰しに行くぞ」
「いいの?そんなこと言って。
君の大切にしてる女の子、名前なんだけ。あぁ、雪兎美恋。
なかなか可愛いよね。ほかの男に触られるってなったら僕に会いに来る?」
ウヘヘって気持ち悪い笑い声が聞こえる
ブチッと電話を切って龍に電話をかけると2コールで出た
「どうしたんですか?」
「美恋は!?」
「美恋ちゃんなら今目の前で数学の教科書と睨めっこしてますよ」
「そうか、、、良かった、」
"龍くん?"
"颯太さんからだよ"
「颯太さんっ!龍くんスパルタなんですよー!早く帰ってきてー」
平和な会話にさっきまで熱くなってた頭が冷えてきた
電話越しにぴよぴよ言ってる美恋の姿思うだけで笑みが零れる
「大人しく勉強してたらすぐ帰ってやるよ。美恋チャンの大好きなアイス買ってな」
「ほんと?頑張るー!」

「アニキ、」
「もしかしたら美恋が早川のやつに狙われるかもしれねぇ」
「こりゃあ本格的に腰上げねぇとな」




「ほれ」
美恋の目の前にアイスを置くとキラキラした目でアイスを見ている
「ほんと颯太さんは美恋ちゃんに甘いんですから、」
「龍には言われたくねーわ
そのままブーメランで返すぞ」

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