苦くて甘いビターチョコといちご
颯太side

「颯太さん!今日飲みに行きましょうよ!」
若衆の琥太に誘われ、行くと
だいぶ内装がオシャレなジャズバーだった
カウンターに座ると琥太がニコニコしてマスターに話しかけた
「マスター!俺いつもの!」
「はいカシオレですね」
「、お前だいぶ可愛いの呑むのな」
「へへ、颯太さんは何にします?」
「、、、イタリアン・サーファー」
「かしこまりました」
ロマンスグレーでオールバックのマスターの存在がバーの雰囲気を更に出している
「今日はあの子いるんですか?」
「はい、丁度この後出てきますよ」
なんの話だ?
「何、お前の想い人か?」
「ち、違いますよ!きっと颯太さんも見たら分かりますよ」
は?
「あれですよ」
マスターが指さした方向を見ると
グランドピアノと、人2,3人のる小さな円形のステージにスタンドマイク
「誰か来んのか」
「ここだけの歌姫ですよ」
するとスポットライトがステージを照らした

赤いマーメイドラインにスリットの入ってるドレス
綺麗なストレートの髪を靡かせステージに立った
そっとマイクに手を当ててピアノから流れてくる曲に合わせ静かに歌い出す
「ウチの歌姫、白雪です」
白雪、ねぇ、
、、、、あれ、こないだの女の子じゃねー?

4、5曲歌い、ステージから降りてstaff onlyと書かれたドアに入ってった

しばらくすると琥太は酒飲みまくって夢の世界
俺はその横で酒をのんでいると
カタッ
横に女が座った
マスターがスプーンと一緒に皿を渡していた
あ、、

「よぉ、こないだはちゃんと家帰ったか?白雪チャン」
「、!お兄さん、」
もぐもぐとリスみてぇにほっぺた膨らまして食ってる
「バイトってこれだったのか」
「はい、」
「最近はちゃんと補導されない時間に帰ってるか?」
「白雪ちゃん、また家に帰らなかったのかい?」
「また?」
マスターの言った一言が気になった
「、、」
スプーンの手が止まった
「そういや、こないだ家に帰りたくないみたいなこと言ってたな、なんかあったのか?」
「もしかして、最近怪我してくることと関係あるのかい?」
「怪我?」
「はい、さっきお客さんも見たドレス姿、たまにあたしの妻が着替えさせるんですがね、最近背中に殴られたアザとか、おでこに傷作ってきてたりしてるって言ってたんですよ」
「、、」
前髪を上げると、少し赤くなってるアザがあった
「、何があった、」
「、お兄さんに関係無いです、こないだは助けてもらったけど、この事まで巻き込むことはないんですから」
俯き少し涙目になってる
「はぁ、そんな顔してるガキを見過ごすわけねぇだろ」
ぽんぽんと頭を撫でると
固く閉じてた唇を噛み締めてる
「白雪と知り合いなら、お兄さんに任せても大丈夫ですね、事務室案内しますのでそこでゆっくり話してください」
マスターに通され、事務室の椅子に座った
向かいの椅子に座るこいつは未だに泣きそうな顔のまま泣かない
ちっちゃいミニテーブルにオレンジジュースとコーヒーをマスターが用意してくれた
琥太は起きるまでそのまま寝かせておいてくれるってマスターのご好意に甘えることにした
「、、、龍宮寺 颯太」
「りゅうぐうじ、さん?」
「颯太でいい。お前のほんとの名前は?」
「、、雪兎 美恋です」
「美恋ね、んで、なんで家に帰りたくないとか、不良娘見てぇなこと言ってんだ?」
「、、」
「言わねぇと家に送り届けるぞ」
「、本当の親じゃないんです、」



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