苦くて甘いビターチョコといちご

戦う

颯太side

あれから1週間

久しぶりに海に行ってみると
空は真っ黒に怪しい月の光が波に反射していた
雪も振ってキラキラと輝いていた
その時海の中に赤いドレスの女の影
こんな時期、こんな時間に海なんて自殺行為
走って腕を掴み進む脚を止めると
振り返った女は、
「美恋、、、」
美恋だった
「何やってんだ!」
「颯太さん、、」
俺の顔を見る美恋の目は1週間前のような光は無く、遠くを見るような、
生きてる感じがなかった
美恋の足元にはスマホが沈んでいた
「、帰るぞ」
スマホを拾い、美恋を肩に担ぐが
前にあった時よりもやせ細って腹に俺の肩がぶつかって痛そうな顔をする
横抱きにして車に乗せ
俺の家に向かう


海水でベタベタになってるだろうし、
風呂に入れさせ、でかいだろうけど俺の着替えのパーカーと下のジャージのを用意し、
戻ってきた美恋に温かいココアを入れた
「、、何があった」
「、、、今日学校から帰ってバイト行く準備していたら、あの人に、制服破かれた、、、」
思い出すのも怖いだろう、
「太もも、触られた、気持ち悪かった、、、、」
話を聴いたら
タイミングよく男の携帯に着信がなり、電話出た隙に逃げてきた

ついに暴行だけじゃなくそういう目的で手を出してきたのか、
未遂で終わって良かったけど、、
「とりあえず、パーカー捲れ。」
「、、、え!?」
「背中こっち向けて捲れ。さっき自殺しようとしてたんだからこれぐらい余裕だろ?早く傷見せろ」
「、はい、」
背中向けたと思ったらパーカー脱いだ
背中には殴られたような跡、
根性焼きのあとに、刃物で切られたような切り傷も。
予想よりひどいな、これ、、、
立ち上がり棚の上に置いてある救急箱を取り、さっきのとこに座り、
コットンに消毒液を着け、
準備していく
「とりあえず消毒な」


学校は男にバレる、バイトも同じ
しばらくは休ませた方がいい気がする、
「美恋、しばらくここにいろ、」

響也さんにも話してどうにか出来ないか相談する
とりあえず知り合いの医者に美恋が受けてきた傷など見てもらい
薬をもらってきた
栄養失調にもなっていたらしく、あと少し遅かったら危なかったかもしれないと言われた
1週間近くは学校も休ませ、安静にさせた。
少しずつご飯を食べるようになってきて安心してきた
響也さんは学校に行くと言う美恋に
送迎付きなら行っても大丈夫だろうと助言を貰った
「しばらく俺が送り迎えするから安心してろ」と響也さんがドヤ顔で言ってきたが任せることにした
警察が一緒なら男も手を出せないだろう

バイトも行かないといけない、
店長にも迷惑かけちゃうから

そう言った美恋を2週間ぶりにバイトに行かせる
もちろん俺と部下の琥太の送迎付きで

バイトも終わり、
美恋を迎えに行く
「そろそろ出ないと颯太さんにも迷惑かけちゃう、」
「でも、DVの奴のとこ返すわけ行かねぇし、、ふむ」
「ふむ、じゃねぇよ」
琥太がありもしない髭を撫でる真似をした
とりあえず外に出て、バーの近くの公園にはいるとベンチが少しとすべり台や
小さいアスレチックがあるぐらいのものだった
「ん、程よい」
にしても、どうすっかな、、、
「帰りたくない」
そりゃそうだ、そんな奴のとこ帰りたいやつなんていねぇよ、
「見つけたぞ!」
公園の入り口に現れた男
今日は曇っててよく見えないけど
無精髭を生やしいかにもって感じの顔してるのはわかる
「っ!」
怯えた顔をする美恋
「もしかして、あの男か?」
怯えながらコクコクと頷く
怖いのか小さな美恋の手が俺の腕を握る
「そうか、」
胸ポケットからタバコを取り出し1本口にする
火をつけ煙を吐く
「さて、おっさん、なんか用か?」
「あ?あんたらじゃねぇよ、あんたの後ろに隠れてる女だよ
何時になっても帰ってこねぇから迎えに来たんだよ」
美恋は涙目になっている
「ほらお兄さん達に迷惑かかるだろ?ほら帰るぞ」
「っ!やめ、」
美恋の手首を掴んで無理やり引っ張ろうとする男
「嫌がってんだろ、」
「いえ、帰って躾ないと行けないので」
「っ!、や、やだ!」
パシン
抵抗する美恋をひっぱ叩いた
「おいおい、流石に暴力はねぇんじゃねぇの?」
「おい!ッチ、静かにしろよこのアマァ!」
「おいおっさん。その手離せ」
「あ?おめぇに関係ねぇだろ」
「あ?」
「それかなにか、あ、もしかしてこいつの彼氏か?なら早く別れた方がいいぞ、こいつは18になったら金になる男のとこに売るんだから」
「っ!ぃや、」
逆光でこっちが見えないのかニヤニヤしている
「あんたが悲しむ前にな。」
「そろそろ、いい加減にしたらどうだ」
ピキピキとこめかみに青筋が立つのが自分でも分かる
「おいおっさん、聞こえなかったか?
その汚ぇ手を早く美恋から離せっつってんだよ」
雲が割れ、月明かりでおっさんの顔がハッキリしてきた
「あ?、あ、、りゅ、龍宮寺、颯太、」
「ぁあ゛!?
おっさんがやってんのは犯罪なんだよ
あー、なんだっけ、響也さん」
「そうですね、ざっとみても婦女暴行、強姦罪、監禁罪 脅迫罪 過去に人身売買もしていたそうですね、叩けば色々出てきそうですね」
コツコツと響也さんが革靴を鳴らし歩いてくる
「先程通報がありましてね、
ここに来るまでにあなた、女性を殴って、まぁ所謂レイプしましたよね」
「う、うるせぇー!」
響也さんに殴りにかかった男
あーあ、馬鹿だな
「えー、23時49分公務執行妨害で逮捕」
背負い投げで倒し、男に手錠かける響也さん
部下の人達に連れられパトカーに乗ってった
「さて、美恋ちゃん、やっぱりあなたでしたか、あなたのお父さんにはお世話になっておりました。覚えてなくてもしょうがないです。あなたに最後に会って話したのは貴方が幼稚園児の時、お母さんのお葬式の時は魂が抜けたようになってたましたから」
ふわっと笑って美恋の頭撫でる響也さん
「今回も事情聴取とかあるけどいいかな?」
「、はい」

「颯太、お前も一緒に来てくれて、
今は美恋ちゃんの精神安定剤みたいな奴が必要だ」
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