死にたがりティーンエイジを忘れない
声が震えた。
めったに人と話さない喉は、これだけの言葉を発するだけで疲れてしまって、表現したい思いの半分も声にすることができない。
鹿島先生は低い声で笑った。
四月の少し肌寒い風が動いて、タバコのにおいがわたしへと流れてきた。
「やりたいことがあるなら、それにすがり付いて、しがみ付いて、どうにかして生きてこの高校を卒業しろ。おまえには退学を勧めたくない。おまえは通信制の高校に移りたいと、去年はチラッとこぼしてたそうだが、そっちには行くな」
「でも、わたしはまた休むと思います。中学のころからずっと、わたし、こんなふうなんです」
「休んでいい。サボっていい。それは罪なんかじゃない。自分という存在が壊れないようにバランスを取って、どうにか踏みとどまれ。そしてな、家に引きこもるんじゃなくて、外へ逃げ出せ」
「逃げ出す?」
「旅に出ろ。知らない場所に行ってみろ。自分の可能性を試してみろ。いい案がある。わたしの大学時代の同級生に、おまえを紹介しよう。この夏、飛び出してしまえ」
「はい?」
わたしは思わず、鹿島先生をまじまじと見た。
鹿島先生は、唇の片方の端を持ち上げる笑い方をした。