死にたがりティーンエイジを忘れない
「センター試験まであと一年ちょい、それから一ヶ月ちょっとで本場の入試だろ。それまでに足掻けるだけ足掻いて、どうにかやるしかない。蒼との腐れ縁が続けばいいな」
素直な口調で語った雅樹は、今日はずいぶん疲れているように見えた。
お互いベタベタしない関係だから、ひとみと話すよりも気楽に感じられる。
そう思っていたら、わたしの心を読んだように雅樹が言った。
「おれにとっての蒼って、いちばん安全な相手なのかもしれない。恋とかわかんないって正直に言えるし。点数を公表しても驚かなくて、ましてや崇め奉ったり? そういうバカげたことはやらないし。もちろん、おれも蒼の点数にビビらねぇし」
「わたしは点数、普段はほかの誰にも言ってないよ。面倒くさい」
「おれも最初からそういう主義を表明しとけばよかった。テストが返ってくるたびに、すっげぇ厄介だよ」
雅樹は笑いながらため息をついて、じゃあ、と手を挙げて部活に向かっていった。