死にたがりティーンエイジを忘れない
わたしが大叔母の家に引っ越せるのは四月一日。
親と住んでいたもとの家を引き払ってから新しいところに移るまで、数日間、わたしは家がなかった。
ひとまず両親の新しい家に行って、そして、ふと思い立って旅に出た。
旅といっても大した遠出ではなくて、木場山の中で最も山の深い地区に一泊二日で行ってみただけだ。
宿泊先は小さな民宿。
これが素晴らしい体験になった。
わたしは歴史に興味がある。
ファンタジー小説の執筆には歴史の勉強が不可欠だ。
架空の世界を自分独自に組み立てるとき、「現実世界を構成する要素」というピースをたくさん持ってればいるほど強くて、創る世界に奥行きとリアリティが出せる。
興味があることだから、響告大学の受験のために世界史と日本史の両方が必要なのも、どうにかこなせている。
本番の試験で出される問題は「何々について説明せよ」の一言で、解答欄はとても広い。
そこをしっかり埋められるだけの知識を暗記していなければならない。
わたしが暗記するこの知識、教科書に書かれたこの知識は、一体どうやって集成されたんだろう?
ぼんやりといだいていた疑問の答えを、わたしは山奥の旅で見付けた。
わたしが自分で歴史的知識の収集をやってみたからだ。