死にたがりティーンエイジを忘れない
「倒れるまでやらないことよ。あたしも極端なタチだから、あんたのこと言えないけどね」
「平気です。ちょっとくらい無茶しても、全然ぴんぴんしてますから、わたし」
大叔母の前では、ごまかし笑いの仮面が定番になった。
ああ、このニキビだらけの太った顔、どうにかしたい。
やせなければ。
勉強しなければ。
学校帰り、歩いて下宿まで行けば遅くなる。
暗くなってしまうのを大叔母は意外にも心配していたみたいだ。
一度、学校まで迎えに行こうかと尋ねられた。
わたしは断った。
明るい道を選んでるから大丈夫だと。
本音は、頭の中で英語を転がす時間がほしかったのと、やせるために歩きたかったからだ。
どうやったらやせるんだろう?
今ならスマホでサクッと検索して、多すぎるほどの情報が簡単に手に入る。
わたしはそのころ、親との連絡用にケータイを持ってはいたけれど、それは電話とメールをするためのものに過ぎなかった。
ケータイでネットができるようになるのは、もうちょっと後のことだ。
家庭科の教科書で得た知識が、食べ物や栄養のことに関する、わたしの持つ情報のすべてだった。
ダイエットの情報は乏しかった。
揚げ物を食べない。
肉を食べない。
お米を食べない。
パンを食べない。
麺類を食べない。