死にたがりティーンエイジを忘れない


高校三年の春に始まった極端な好き嫌いから始まった、体のトラブル。

そこから回復するまでに時間がかかった。

ザックリ言って十年近く。

普通、いちばんキラキラしているはずの「若い女性」の期間、わたしは三十代の今よりもずっと不健康だった。

きれいじゃなかった。


食べられるようになって、体力がついたから運動ができるようになって、運動して自分の体のバランスがわかるようになった。

それで初めて、あのころのわたしがどれほどひどい状態だったかがわかった。


それとも、あのころのわたしは生きることを否定して、あえて不健康でありたかったんだろうか。

直感的に、そうあることを選んだんだろうか。


時たま、本当に時たま、わたしは智絵を思い出した。

わたしは受験のために忙しくしている。

智絵はどんな進路を選ぶんだろう。

美術学校に行きたいと、ずっと前は言っていた。

不登校になる前は。

あの夢はもう、消えてなくなってしまったんだろうか。


智絵に会いに行けなくなった自分が不甲斐なくて、押しつぶされそうになるから、わたしは勉強のことばかり考える。

チラッとミネソタのことを考えて現実逃避をする。


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