死にたがりティーンエイジを忘れない


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やせたね、と言われることが嬉しった。

一学期が終わるころには、そう言われることが増えていた。


でも、嬉しかったけれど、わたしはニコリともせずに仏頂面のままだった。

だって、その嬉しさも中途半端なものだ。


四月に出た六十八キロという数字に比べて軽くなっただけ。

百六十五センチで、ようやく六十キロを切った。

それくらいだったら、少しもやせてなんかいない。

わたしはきれいじゃない。


父は仕事が忙しいらしい。

引っ越してから夏までの間に、顔を合わせたのは一度だけだ。

母は比較的よく琴野町に来て、わたしとひとみと雅樹を外食に連れていった。

わたしはそれが苦痛で、毎度のように仮病を使った。

具合が悪いから行かないとか、食べたくないとか。


顔を合わせるたびにわたしがやせていることについて、母が大叔母に訴えるのを、たまたま聞いた。

いつもひょうひょうとしている大叔母が、泣き出しそうな声で答えていた。


「あの子、食べてくれないの。どんな料理にしても、手を付けやしないんだから。どうすりゃいいのか、こっちが訊きたいわよ」


どこか遠い場所で心が痛んだ気がした。

食事を残すことにも好き嫌いをすることにも、それによって大人たちを傷付けることにも、わたしは慣れ切って、感情が麻痺していた。


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