死にたがりティーンエイジを忘れない
笹山と会うのは週末。
別にどこかに出掛けるというのでもなく、あの広い部屋で過ごすだけだ。
悲劇的な結末、後味の悪い結末を迎えるサスペンスの洋画をずっと観ていることが多い。
不幸に浸り込む体験は刺激的なエンターテインメントなのだと、笹山は言う。
わたしはそんなもの観たくない。
映像は、文章と違って、情報を取り入れようと努力しなくても、絵も音も動きながら脳に飛び込んでくる。
拷問や殺戮のシーンも、人が人を憎んで放つ呪詛のセリフも、鮮烈なインパクトでわたしの中に入ってくる。
笹山がそれを楽しめるのは、今まで生きてきた中で何も不幸なことがなかったからなのか。
わたしは、自分のぶんだけで精いっぱいなのに。
洋画のDVDの後は、抱かれる。
いつもまったく同じ流れだ。
終わったら、笹山は必ずシャワーを浴びて服を着る。
この儀式は何なんだろうかと、わたしはいつも思う。