死にたがりティーンエイジを忘れない


電話口で黙っているわたしに、雅樹は尋ねた。


〈あのさ。彼氏とか、できた?〉

「……うん」

〈そっか……どういう人?〉

「……どういう人なんだろ?」

〈何だよ、それ?〉

「いや、何ていうか……」


雅樹がため息をつくのが、ハッキリと聞こえた。


〈おれらさ、あんまりマメに連絡取り合う間柄じゃないけど、蒼が妙に電話に出ないよなって、変に思ってたんだ。その何かよくわかんねぇ彼氏のせいってこと?〉


どうなんだろう?

笹山のせいだけではないと思う。

食べて吐いて食べて吐いて、やせることだけが気になって、集中力がなくなっている。

こんな自分を、必死で突っ張って生きていた以前のわたしを知る人に、見せたくない。


雅樹が、変に明るい声で言った。


〈もしおれが響告大に受かってたら、おれと蒼、なし崩し的に付き合ってたんじゃないかって気がするんだよな。昔から家族ぐるみで、お互いよくわかってんじゃん? 結婚とか、簡単にそこまで行っちゃったかもなって〉

「そう、かもね」


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