死にたがりティーンエイジを忘れない
ついでに、ドラッグストアの食品コーナーに回ったとき、金髪でガリガリの女性がいた。
食べ物をいっぱいに入れたカゴを、指輪だらけの手で持っている。
中指の付け根に、吐きダコがある。
あの人もわたしと同じだ。
食べて吐いている。
でも、彼女のほうがわたしよりずっと細かった。
一心不乱に食べ物を選んでカゴに入れている。
たとえ声を掛けたとしても気付かないだろう、と感じた。
常軌を逸した行動って、はたから見ると、あんなふうなんだ。
彼女の金髪の隙間から、たくさんのピアスが見えた。
チラッとのぞいた手首には、真っ赤な傷のラインがびっしりとあった。
わたしはまだ、なまやさしい。
それは安心感のような失望感のような、ぐちゃぐちゃした気持ちだった。
わたしは彼女ほど壊れていないから、まだまともになれるかもしれない。
わたしは彼女みたいにもなれない、中途半端な人間だ。
食べ物を買う気が失せた。
どうせ喉も痛むし。
代わりに、ピアスホールを開けるための道具を買った。
部屋に帰って、衝動に任せて両耳に穴をうがった。
ガシャン、と耳元で音がして、ズンズンと芯まで響く鈍痛が生まれた。
あごのリンパがたちまち腫れた。