死にたがりティーンエイジを忘れない
笹山に誠意があるのだとしても、わたしにはそれが見えない。
「もう解放してください。別れてください。わたしは、あなたを好きになれませんでした」
呆然と見張られた笹山の目から涙が落ちた。
「……蒼は、ボクの名前、本当に覚えてる? 呼んでって、ボクが求めるときしか、呼んでくれなかったよね。それって結局、そういう……感情が少しもないから……」
わたしはテーブルの上に千円札を置いて、席を立った。
「さようなら」
笹山に背中を向けることは怖かった。
何かされるんじゃないか、と。
店を出るや否や、わたしは自転車に飛び乗って、夢飼いを目指して一目散に走った。