死にたがりティーンエイジを忘れない
わたしは、女としてキレイになりたいと目指しているわけじゃないんだ。
女だ男だって、そういうのはどっちだっていい。
人間としてカッコよくなりたい。
竜也を好きな気持ちは確かにあって、でも、それが恋なのかどうか、わたしにはわからなかった。
でも、初めて肌を重ねた後の、相手のことを全部許せるような安心感。
痛みも苦しみもなくて、ただ一生懸命になって、気持ちよくて幸せだった。
だから、名前の付かない感情だとしても、これで正解なんだと思った。
わたしも竜也も大人になって、年を重ねて、どんどん変わっていくだろう。
けれど、わたしと竜也の間にあるものは変わらないんだろう。
大学二年生の冬、わたしは二十歳になった。
永遠に終わらない迷路のようにも感じていた十代は、終わってしまった。
いつ自分で自分を殺してしまうだろうかと恐れていたはずなのに、未来らしきものを手に入れてしまった。
そしてわたしは、それから十数年が経っても、まだ生き続けている。