死にたがりティーンエイジを忘れない


二十歳になって、それから後のことを少しだけ書き添えておく。


食べたい吐きたいという衝動は、だんだん収まっていった。

完全になくなったのは、「竜也」と同じマンションに引っ越して、ほとんど毎日一緒に過ごすようになってからだ。


二部屋を行き来して、わたしが料理を作って「竜也」と一緒に食べるようになった。

そのときから、にがり水の大量摂取や豆乳やヨーグルトといったダイエット食品の鎖から、わたしは解き放たれた。

そんなものにこだわっていたら、ちゃんとした料理は作れない。


自分でもあきれるほど、あっさりしたものだった。

まったく、一切、ドカ食いしなくなった。

朝ごはん用の食パンを買い置いても、それが視界に入っても、わたしは吐きたいとは思わなかった。

睡眠導入剤もやめた。

やめることができた。


「竜也」たち「弓道部」の影響で、わたしも運動を始めた。

ジョギングとホットヨガだ。

前にも書いたとおり、ちゃんと汗をかく体質になるまで、ずいぶん時間がかかった。

速くは走れないし、さほど筋力もないけれど、運動は続けている。


食べて吐くのが落ち着いて、汗をかけるようになって、そうしたら、いつの間にか肌の状態がよくなっていた。

今、昔はニキビがひどかったんだという話をしても、すごく意外だという反応が返ってくる。


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