死にたがりティーンエイジを忘れない
休み続けて、そのままゴールデンウィークに入ってしまった。
休日の朝も、わたしは起きられなかった。
親に病院へ行くことをすすめられた。
わたしは「イヤだ」と言った。
病院に行って検査をしたところで、体に異常はないはずだ。それが自分ではわかる。
じゃあ何がおかしいのかって、たぶん、
新しい学校の空気を「キモチワルイ」と感じてしまう心のほうだ。
わたしはこの四月、転校生だった。
始業式、学年集会でのあいさつ、学力テスト、健康診断、部活からの勧誘、遠足。
いろいろあって、忙しかった。毎日ぐったり疲れ果てていた。
前の学校は、全校で百六十人。
いなかの小さな学校だった。
新しい学校は、七百人規模。
新興のベッドタウンが校区内にあって、毎月何人かが転入してくるようなところだ。
よく言えば活気があるけれど、ハッキリ言って落ち着きがない。
人口が多い反面、駅ビルやショッピングモールはなくて、都会とはいえない。
古くから琴野町に住む人とベッドタウンに家を建てたばかりの人の間に、みぞのようなものがある。
とげとげしい、と思った。
空気が優しくない。
どうしてそう感じたのかというと、女子も男子も楽しそうに興じるおしゃべりのテーマが「誰かの悪口」だからだ。
あっちからもこっちからも派手な笑い声が聞こえると思えば、
先生だとか先輩だとか、欠席しているクラスメイトだとか、別のクラスの有名人だとか、
とにかく誰かをバカにして、その人の物真似をしたりしている。