死にたがりティーンエイジを忘れない
オープンキャンパスの中学生用に開放された教室でのことだ。
外からは、部活終わりの高校生の声が聞こえてくる。
オープンキャンパスに参加中の後輩に先輩が会いに来る、という場面も見かけた。
先に食べ終わった雅樹は、さっさと席を立った。
「適当にうろついてくる。ここにいるだろ?」
「たぶん」
午後は校内見学があって、体育館に移動して在校生の学校紹介を聞いて、それから閉会式だ。
「面倒だな、もう……」
思わず文句を言ったら、ひとみが眉をハの字にして、シュンとしおれた。
「ごめんね。蒼ちゃんは体調があんまりよくないみたいなのに、あたしたちに付き合わせちゃって」
「体調悪いってほどのこともないんだけど」
「でも、顔色が悪いよ。無理してるみたい」
無理はしている。
かなり。
そんなこと言えないけれど。
遠巻きに見られている感じがあった。
琴野中の人たちだ。
わたしに声をかけたいのか、ひとみと話してみたいのか、それとも雅樹狙いなのか。
弁当の味がしない。
匂いだけが鼻を刺激する。
作り立ての料理とは違う、保冷剤でどうにか鮮度をキープした、弁当特有の匂いが。
空腹だったら嬉しいはずのその匂いなのに、わたしの胃はいつも痛くて不快で、
食べ物をおいしそうだと感じることができない。