死にたがりティーンエイジを忘れない
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オープンキャンパスが終わった、その夜。
順番にシャワーを浴びて、ひとみが最後に風呂場に向かった直後だった。
お客さん用の寝室にいた雅樹が、わたしの部屋に入ってきた。
「何か用でもあるの?」
「用っていうか、話。ひとみから木場山中のこと、恋バナ関係、聞いた?」
「恋バナ?」
「一年のころとはやっぱ全然違っててさ、誰かと誰かが付き合ったりとか、別れてギクシャクしたりとか。まあ、琴野中の人らに比べたら、子どものままごとみたいなもんなんだろうけど」
「ひとみからは何も聞いてないし、あんまり聞きたい話でもない」
木場山という場所は、わたしの中ではきれいな思い出のまま、壊れないでいてほしい。
きれいすぎて近寄れない、そのままでいてほしい。
雅樹はため息をついて、わたしの隣に座った。
ベッドを背もたれ代わりにして、畳の上で膝を抱えるような格好だ。
「聞いてよ。ちょっとでいいから」
「何? 悩んでんの?」
「おれもさ、付き合ってる子がいる。蒼は知らない子だよ。よその学校出身の、一つ下の子」