死にたがりティーンエイジを忘れない
わたしが「やる」と言ったことで、担任はホッとしたようだった。
「面倒くさいって思ってるでしょ。行事や集会」
「そうですね」
「授業じゃないイベントを楽しんでる生徒とそうじゃない生徒と、両極端なんだよね。楽しんでない生徒がどんどん増えてるのも事実だし。保健室がパンクしてるんだよ、最近」
保健室登校になっている人は、三学年を合計すると、一クラスぶんの人数と変わらない。
同じくらいかそれ以上の人数が、そもそも学校に来たがらない。
智絵は、そんな大勢のうちの一人だ。
わたしにとっては特別でも、まわりはそうは思っていない。
智絵はあんなに苦しい思いをしているのに、学校の話題の中では不登校というテーマの中にひとくくりにされて、智絵という一人の人間としては扱われない。
いっそのこと、不良が多いとか授業が完全に崩壊しているとか、それくらいめちゃくちゃな学校なら、わかりやすかったかもしれない。
琴野中は中途半端だから、問題だらけなのに、表立っては見えにくい。
髪を染めている人、化粧をしている人、服装の規定を守っていない人はいる。
授業中にしゃべる人、不要なものを持ってきている人、こっそりお菓子を食べる人はいる。
その程度だ。
暴力を振るうとか、ガラスが割れるとか、そういうのはない。