死にたがりティーンエイジを忘れない


フツーの人たちばっかりだ。

そのフツーの人たちが、フツーの会話として、誰かの悪口や陰口を楽しんでいる。

フツーの遊びとして、他人のものを隠したり壊したりしてる。

フツーの感覚として、クラス内で順番を付けて自分より下層の人たちをバカにしている。


何も考えずにフツーになれたら、と思う自分がいる。

そんな自分を想像して、吐き気を覚える自分もいる。


文化祭の準備で盛り上がれる人たちは、日に日に浮かれていった。

クラスが離ればなれになった友達と合流して、どの企画もすさまじく盛り上がっていたらしい。


わたしは特に何の準備もせずにすんだ。

担任から当日の実験メニューを教わって、それについて図書室で少し調べた程度だ。


でも、図書室に寄った放課後、帰りがけにちょっと事件があった。

階段アートの準備をする教室から、同じクラスの菅野が飛び出してきた。


「蒼さん! これから帰るの?」

「そうだけど」

「文化祭、何やるの? どの企画の班に訊いても、蒼さんはいないって言うから」

「理科の実験の手伝いをする」

「そうなんだ。確か、特別企画ってやつだよな? 先生たちが準備するって聞いてたけど、蒼さんはそっちやるの? やっぱ、頭いいからかな。すっげー」


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