雨のち晴れ
雨のち晴れ
地面に激しく叩きつける雨。
分厚い雲で覆われた空。
あの日と同じ。
この場所で晴馬は命を落としたんだ。
持ってきた花束をそっと置く。
周りには私と同じように花を持ってきている人、手を合わせている人、涙を流している人もいた。
あの日の事故で春馬を含めた5人の人たちが命を落とした。
それだけでなく、片足をなくした人、車椅子生活を余儀なくされた人もいた。
この事故は全国でも大きな話題となった。
事件の犯人は運転中に薬物を使っていたそうだ。
犯人は即死。
私はやりきれない気持ちでいっぱいだった。
きっと残された人たちも同じだっただろう。
そのことを思うとますます悔しくなる。
私はしばらくの間、事故現場にとどまっていた。
違う、足が動かないんだ。
その場から離れることができない。
誰か、助けて......
すると、後ろから「美琴」と私の名前を呼ぶ声が聞こえた。