雨のち晴れ
最終章
繰り返す悲劇
季節は夏。
私は高校3年生になっていた。
高校生活、最後の夏休み。
今年は彩香や愛梨彩と遊んだり、お母さんとお出かけしたり、太陽とデートしたり......
「美琴?」
「あ、ごめん太陽」
今は太陽とデート中。
今日は快晴ですごく暑い。
「どうしたんだ?」
「なんでもない」
「教えろよ」
「なんでもないってば」
「へ~」
「なによ」
「別に~」
なんて私たちがたわいもない会話をしていると、一粒の雫が私の上に降って来た。
「雨?」
ポツポツと雨の量が増えていく。
さっきまで晴れていたはずの空も、今は分厚い雲が覆い始めていた。
嫌な予感がする。
これって......
そう、私が空を見上げていると
「美琴!」
と、太陽の声がした。
「え?」
突然、背中を押された。
な、何?
ーキキィィ......!ドン!
その瞬間、聞いたことのある音が響き渡った。
急いで振り返る。
そこには歩道に乗り上げている車が。
幸い、周りにけが人はいないようだ。
けれど、さっきまで隣でバカみたいに笑っていた、太陽の姿がない。
「太陽......太陽!」
必死に彼の名前を叫ぶ。