雨のち晴れ
「美琴!」
「美琴......太陽は?」
「集中治療室に......」
彩香と愛梨彩は、病院の椅子に座って泣きそうになっている私を強く抱きしめた。
私は太陽と一緒に救急車に乗り、病院に来ていた。
救急車の中でも私は太陽の手を握り、名前を呼び続けた。
しかし、太陽は病院に着いても目を覚まさず、集中治療室に運ばれていった。
怖くて、怖くてたまらない。
また、大切な人を失うんじゃないかって。
もし太陽を失ったら、私の心の雨は止むこともなく、誰も愛することができなくなってしまう。
太陽を助けて......
手の震えが治らない。
苦しい.......怖いよ.......
「美琴、太陽は強いから大丈夫だよ」
すると愛梨彩はそう言って、私の握っている手を優しく包み込んだ。
「そうだよ、大丈夫」
彩香も愛梨彩の手に自分の手を重ねる。
あ......
暖かい2人の手。
心強い2人の言葉。
泣きそうになっている私を、困ったように、でも勇気づけるように2人は笑った。
心の中の暗くて重いものが少しずつ減っていく。
「そう......だね、私が太陽を信じなかったらダメだよね」
私の言葉を聞き、2人はもう一度、私を抱きしめた。
こんな時なのに、少し嬉しい自分がいた。
私はいい友達を持つことができた。
こんなに、苦しんでいる私を支えてくれる友達。
私が弱気になっちゃダメ。
太陽を信じてあげなきゃ。
もう、大切な人を失わないために。