雨のち晴れ
心地よい風が私の髪を揺らす。
ここはすごく涼しい。
鳥の声と、少なくなってしまったセミの声が聞こえる。
耳をすませると、秋の虫たちの声もする。
「なぁ、美琴......」
と言って、太陽は私を真っ直ぐに見た。
「なに?」
私も太陽を見つめ返す。
「俺さ、本当はあの時死ぬんじゃないかって思ったんだ」
と、太陽は苦しそうに言った。
そんな彼になんと声をかけていいのか分からず、私は何も言えなかった。
「でも、そんな時に晴馬って奴が俺に言ったんだ。『美琴を頼んだ』って」
晴馬が.....?
『太陽を信じてやってくれ』
「あ.....」
夢の中の晴馬の言葉。
「俺は、『任せろ』って返事をしたんだ」
そうだったんだ.......
あの時の晴馬の言葉の意味がわかった気がした。
「だから、俺は晴馬との約束を守らなきゃいけねぇんだ」
「太陽......」
彼の頼もしい言葉。
私がそう感動していると
「よしっ!」
そう言って、太陽は私から離れ、近くにあったベンチに飛び乗った。
まるで無邪気な子供のように。
すると、太陽は大きく息を吸った。
どうしたのだろうか?
そう、私がキョトンとしていると
「美琴、俺と結婚してくれー!」
と、突然太陽は大声で空へ向かって叫んだ。